「上流だけ」の何が問題か——構想の叩き台をAIが書く時代に
「私は上流専門なので、手を動かす仕事はちょっと」。キャリア面談でこう仰る方は少なくありません。お気持ちは分かります。上流に行くことがコンサルのキャリアの王道とされてきたからです。ただ、まず結論から言うと、「上流だけ」という立ち位置は、2026年の現在、静かにリスクに変わり始めています。
0. 「上流」の中身を分解する
ひとくちに上流と言っても、中身は3層に分かれます。①調査・分析・資料化、②構想・企画の叩き台づくり、③意思決定を動かす折衝と合意形成。ここが重要なのですが、①と②は、生成AIが最も得意とする領域です。業界調査のサマリー、DX構想のドラフト、ロードマップの初版。僕自身、日々の業務でAIに叩き台を書かせていますが、数年前のジュニアコンサルの成果物と遜色ないものが数分で出てきます。
1. 価値が残る上流、削られる上流
| 上流の中身 | AI代替 | 今後の市場価値 |
|---|---|---|
| 調査・分析・資料化 | 進行が速い | 単体では換金しにくくなる |
| 構想・企画の叩き台 | 進行中 | 「叩き台を評価し選ぶ側」に価値が移る |
| 折衝・合意形成・実行の設計 | 当面困難 | むしろ上がる |
つまり、上流のすべてが危ないのではありません。「助言で終わる上流」が削られ、「実行に接続する上流」の価値が上がる。この分解が本記事で一番お伝えしたいことです。
2. 職域を「下」に伸ばすという戦略
ではどうするか。僕がお勧めしているのは、職域を上ではなく下(実行側)に伸ばすことです。要件定義の先の設計・実装の会話に入れること。AIツールでプロトタイプを自分で作って見せられること。導入後の定着まで設計できること。これは僕が社内で呼んでいる用語なんですけど、課題設定から設計・実装まで一気通貫で担うPMを「フォワードデプロイドPM(FDPM)」と呼んでいます。上流出身のコンサルが実行力を足すルートは、このFDPMへの最短経路のひとつだと考えています。
3. 明日からできる3つの行動
- 生成AIで自分の提案をプロトタイプ化する——構想をスライドではなく動くもので見せる訓練。これだけで面接での説得力が変わります。
- 実行フェーズの案件に手を挙げる——現職のまま、デリバリータイプを助言型から伴走型に寄せる。
- 経歴書の主語を「提案した」から「変えた」に書き換える——同じ案件でも、実行への接続を語れるかで評価が変わります。
(結論)
上流特化は、AIが構想の叩き台を書く時代には守れない城です。逆に、上流の思考力に実行を足した人材は簡単には代替されません。「上か下か」ではなく「どこからどこまでか」。職域の幅で語るキャリアに、早めに切り替えることをお勧めします。
PM・PM隣接職に特化した人材紹介「PM Quest」を運営。IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等はPM Quest独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。
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