ファーム出身PM転職、年収レンジの現実
「事業会社に行ったら、年収って下がりますよね?」。ファーム在籍の方との面談で、ほぼ確実に出てくる質問です。率直に言うと、答えは「下がる場合が多いが、一概には言えない」。歯切れが悪くて恐縮ですが、行き先のカテゴリによってレンジの構造がまったく違うからです。
0. 前提:ファームの給与は「稼働の対価」を含んでいる
まず押さえていただきたいのは、コンサルファームの給与水準には、高稼働の対価と、ファームのブランドで取れる単価が織り込まれているという構造です。事業会社に移るとこの2つが外れるため、額面の単純比較では下がって見えやすい。ここを理解せずに「現年収維持」を条件にすると、選択肢が急激に狭まります。
1. 行き先カテゴリ別・レンジの目安
PM Quest独自ガイドの目安値です(個人の経験・企業により大きく変動します。統計値ではありません)。
| 行き先 | 年収レンジ目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 大手事業会社 DX推進・IT企画 | 700〜1,200万 | レンジ上限は高いが枠が少ない |
| SaaS・Web系 PM/PdM | 600〜1,100万 | ストックオプションが付く場合あり |
| スタートアップ 事業開発・経営企画 | 600〜1,000万+SO | 額面は下がるが裁量と将来性で選ぶ椅子 |
| 新興・中規模ITコンサル | 600〜1,500万 | ファーム間転職。年収は維持〜増が狙える |
| 大規模変革PM・PMO(事業会社側) | 700〜1,300万 | ERP・基幹刷新の発注側。経験が直接換金される |
2. 下げ幅を抑える人の3条件
- 実行まで語れる——助言型のみの経歴は「様子見の年収提示」になりがちです。伴走・導入・定着の経験は提示額を押し上げます。
- 職域で語れる——「◯◯ファームで5年」ではなく「DX構想から要件定義まで、経営と現場の両レイヤーを動かした」と語れる方は、レンジの上側で交渉が始まります。
- 生活コストの時間軸を持っている——初年度の額面ではなく、3年後のポジションと報酬で判断できる方は、結果的に良い選択をされている印象です。
3. 誤解がないように申し上げると
「年収を下げてでも事業会社へ」と煽りたいわけではありません。ファームに残る、より上流のファームへ移る、という選択が最適な方も当然います。僕の体感値で言うと、後悔が残る転職は「下がった」ことではなく「下がる理由と戻る道筋を理解しないまま決めた」ことから生まれています。
(結論)
年収は下がるか上がるかではなく、「何と引き換えに、どの時間軸で設計するか」。額面の一点比較をやめて、3年後の職域と報酬のセットで考える。それがファーム出身の転職で期待値のズレを防ぐ、ほぼ唯一の方法だと考えています。
PM・PM隣接職に特化した人材紹介「PM Quest」を運営。IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等はPM Quest独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。
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